オメガのスピードマスターは「ムーンウォッチ」として時計史に輝かしい足跡を残す傑作ですが、その人気の高さゆえに精巧な偽物が市場に出回っているのも事実です。
特に最新の「スーパーコピー」と呼ばれる偽物は、プロでも見分けが困難なレベルに達しています。
私たちギャラリーレアは、長年の鑑定経験から得た知識を基に、スピードマスターの偽物を見分ける重要なポイントと、安心して本物を購入できる方法をご紹介します。

ブランド買取販売店「ギャラリーレア」でLA部部長として勤務。業界屈指の激戦区である大阪エリアにおいて10年以上のブランド買取経験を持つ。
日本流通自主管理協会(AACD)の認定査定士として、ブランドに対する確かな知識とお客様に寄り添ったサービスを武器に第一線で活躍している。
目次
オメガのスピードマスターの偽物が多く出回っているのはなぜ?

オメガ スピードマスター レジェンド ミハエル・シューマッハ 3506.31.00 OMEGA 腕時計
世界的な知名度を誇るオメガのスピードマスターは、1969年のアポロ11号月面着陸任務で宇宙飛行士の腕に巻かれていたことから「ムーンウォッチ」として知られ、時計愛好家やコレクターから絶大な支持を得ています。
この圧倒的な人気と高い資産価値が、残念ながら偽造業者のターゲットとなる主な理由となっています。
近年問題となっているのは、偽物の技術が飛躍的に向上しているという点です。かつては安価で粗悪なコピー品が主流でしたが、現在では「SS品」や「N品」と呼ばれる高品質なコピー、さらには「スーパーコピー」と称される最高ランクの偽物まで存在します。
これらの精巧な偽物は、素材や仕上げを本物に極めて近付けており、ムーブメント(機械内部)まで模倣しているケースもあります。
特にスピードマスターは、オメガの代表的なシリーズとしてシーマスターやデ・ヴィルと並ぶ人気モデルであり、中古市場でも高値で取引されています。この高い利益率が偽造業者にとって魅力的であり、より精巧な偽物を製造する動機となっているのです。
シーマスターなどの他のモデルでは、ムーブメントのクローンまで試みられている事例もあり、スピードマスターも例外ではありません。
専門家でない限り、最新のスーパーコピーを見抜くことは極めて困難になっているという現実を、私たちは購入検討されているお客様にしっかりとお伝えする必要があると考えています。
オメガのスピードマスターの偽物の見分け方を7つのポイントで解説!

オメガ スピードマスター アポロ11号 50周年記念モデル 限定6969本 310.20.42.50.01.001
これから紹介する7つのポイントは、鑑定士が実際に確認している重要な判定基準です。
ただし、どれか1つのポイントだけでなく、すべての要素を総合的に確認することが重要であり、1点でも不審な部分があれば購入を控えることをおすすめします。
1.ブランドロゴのフォント
華やかな文字盤を彩るオメガのロゴは、真贋判定の最初の重要なチェックポイントです。
本物のオメガのロゴ(Ωマークと「OMEGA」の文字)は、非常に鮮明で、インクのブレやはみ出し、歪みが一切ありません。
文字の配置バランスも完璧で、どの角度から見ても美しい仕上がりになっています。
偽物の場合、インクがはみ出していたり、文字のバランスが不自然であったりすることが多く見られます。特に塗料が均一でなく、下地が透けて見えることもあります。確認すべきはロゴだけではなく、文字盤上の「Speedmaster」や「PROFESSIONAL」といったすべての文字の印刷品質もチェックする必要があります。
また、本物の文字のエッジは、ルーペで見るとシャープですっきりとしており、この精密さは偽物では再現が困難な部分となっています。
2.付属品やシリアルナンバーの有無
精巧な偽物を見抜くための最重要チェック項目として、付属品とシリアルナンバーの確認があります。
正規店で購入した新品には、必ず国際保証書(ギャランティカード)が付属し、現行のオメガのカードは赤色のプラスチック製となっています。
最も重要なのは、時計本体に刻印されたシリアルナンバーと、ギャランティカードに記載された7桁または8桁の数字が完全に一致するかの確認です。シリアルナンバーの位置は時代によって異なり、現行・モダンモデルはラグ(時計本体の足)の裏側(底面)など外装に、ヴィンテージモデルはムーブメントのブリッジに刻印されています。
シリアルナンバーの位置が時代と合致しない場合は、偽物や異なるパーツを組み合わせた個体である可能性があります。
ただし、「付属品完備」という言葉に安心してはいけません。偽造業者は箱やギャランティカード自体も精巧にコピーしており、シリアルナンバーの一致は本物であるための必要条件に過ぎず、それだけで十分条件にはならないということを、私たちはお客様に必ずお伝えしています。
3.裏蓋
スピードマスターの象徴的なデザインである裏蓋は、真贋判定の重要なポイントです。
多くのスピードマスターの裏蓋には「シーホース(海馬)」のメダリオンが刻印されており、本物は彫りが深く、鮮明で、エッジが立っています。
偽物は彫りが浅く、ぼんやりしていたり、安価なレーザー刻印のように見えることがあります。
裏蓋の縁にある「FLIGHT-QUALIFIED BY NASA…」などの刻印も重要なチェックポイントです。本物は完璧な刻印ですが、偽物は文字が曲がっていたり、スペルミスがあることさえあります。
「サファイアサンドイッチ」などの裏蓋が透明なモデルでは、ムーブメント自体が最大の鑑定ポイントとなります。
キャリバーナンバー(例:Cal. 3861)や「MASTER CO-AXIAL」といった刻印を確認し、本物は「ジュネーブ波形」と呼ばれる美しい仕上げが施されていますが、偽物は仕上げが荒いのが特徴です。
4.文字盤や針の精度
洗練された文字盤と針の仕上げは、オメガの職人技が光る部分であり、偽物との差が明確に現れる箇所です。
本物は高品質な蛍光塗料(ルミノバ)が、インデックス(アワーマーカー)の枠内に精密かつ均一に塗布されています。偽物は塗料が枠からはみ出していたり、塗りにムラがあり、汚く見えることが多いです。
暗所での発光テストも有効な判別方法です。本物は針とインデックスが均一に、力強く光り続けますが、偽物は光り方が弱かったり、針とインデックスで明るさが異なる場合があります。
針の仕上げについても、本物はエッジがシャープで表面仕上げも完璧ですが、偽物は針先にバリと呼ばれる金属のトゲやささくれが残っていることがあります。
インデックスとサブダイヤルの配置も重要です。本物のインデックスは文字盤に正確な位置に配置されていますが、偽物はサブダイヤル(小さな円)の間隔や配置が不正確であったり、クロノグラフ機能(ストップウォッチ)が動作しない(ダミーである)場合があり、これは偽物である決定的な証拠となります。
5.ベゼルや目盛り
エレガントなベゼルに刻まれたタキメーターは、スピードマスターの機能美を象徴する部分です。
本物はタキメーターの数字や目盛りが鮮明で、ベゼル内に正確に収まっていますが、偽物は数字が擦れていたり、ベゼルの縁にはみ出していることがあります。
ヴィンテージや現行のキャリバー321搭載モデル、2021年以降の新型ムーンウォッチに見られる「Dot Over Ninety(DON)」という特徴にも注目が必要です。タキメーターの「90」の数字の真上にドットが配置されているのが本物の特徴で、製造年代とベゼルの特徴が一致しない場合、偽物かパーツが交換された個体である可能性があります。
また、ヴィンテージや現行のDONベゼルには、最初の「E」にアクセント記号が付くのが特徴です。
多くの記事で「400と500の間のドット」が鑑定ポイントとして紹介されていますが、私たちの経験では、偽物も進化しており、一部の高度な模造品ではこのディテールまで再現されていることがあるため、ドットがあるからといって本物とは断定できません。
このような偽造業者との「いたちごっこ」の現実を、お客様にはしっかりとお伝えしています。
6.全体的な質感
高級時計としての品格は、全体的な質感に現れます。
本物のケースやブレスレットの角(エッジ)は、面取り加工が施され、手で触れても滑らかです。
偽物はこうした手間のかかる加工が省略され、角が鋭く尖っていることが多く、触った時の違和感や安っぽさは重要な判断基準となります。
重量も重要な判別ポイントです。本物は高品質なステンレススチールを使用しているため、ずっしりとした重みがありますが、偽物は安価な素材を使用しているため、不自然に軽い場合があります。
仕上げ(研磨)についても、本物は鏡面仕上げ(ポリッシュ)と艶消し仕上げ(サテン)のコントラストが美しく、均一ですが、偽物は研磨が雑で、光を均一に反射せず、荒く削った縞模様のようなものが見えることがあります。
この仕上げの違いは、プロの鑑定士が特に重視するポイントです。
7.ブレスレット周りの仕上げ
日常的に使用する際に最も触れる機会の多いブレスレット周りは、製造技術の差が顕著に現れる部分です。
本物のクラスプ(バックル)にはオメガのロゴ刻印が深くシャープに施されていますが、偽物は浅く、エッジが丸まってダボついている印象を受けます。
特に注目すべきは、ケースとブレスレットを繋ぐ最初のコマ(フラッシュフィット)と、ケース本体との接合部です。本物は工作精度が極めて高いため、ケースとフラッシュフィット、さらに次のコマとの間に段差や隙間がなく、滑らかに一体化しています。
偽物は工作精度が低いため、明らかな隙間や、目で見てもわかる段差が生まれ、これは製造技術の差が顕著に現れるポイントです。
コマの仕上げについても、全体的な質感と同様に、コマの角が鋭くないか、研磨が雑でないかを確認することが重要です。ギャラリーレアでは、これらすべてのポイントを総合的に判断し、確実に本物であることを確認した個体のみをお客様にご提供しています。
オメガのスピードマスターを購入する時の注意点はある?

オメガ スピードマスター 東京オリンピック 2020本限定 522.30.42.30.04.001 OMEGA 腕時計
これまで7つのポイントを詳しく解説しましたが、これらすべてを、特に実物を触ることができないインターネット通販で完璧にチェックするのは、プロでなければ不可能です。
そこで、購入を決定する前に、誰でも確認できる重要な注意点を3つご紹介します。
相場より安すぎる個体には注意
魅力的な価格に惹かれる気持ちは理解できますが、高級時計であるオメガが、正当な理由(激しい損傷など)なく市場相場より極端に安い場合、偽物の可能性が非常に高いです。
スピードマスターは人気が高く、モデルによっては中古市場でも価格が下がりにくく、あるいは定価を超えるため、適正な相場を知ることが重要です。
また、価格差には専門業者が行う鑑定・整備・保証のコストが含まれており、個人間取引でこの差額分だけ安い個体を見つけても、偽物のリスクをすべて買い手が負うことになると考えています。
付属品・保証書の有無を確認しておく
実際の購入検討時において、時計本体のみで付属品が何もない個体は、それだけで偽物のリスクが上がります。
なぜ付属品がないのか、その背景を慎重に考慮する必要があります。
ただし、ここでも注意が必要なのは、付属品があるから本物とはならないという点です。
付属品もセットで偽造されている「フルセットの偽物」も存在するため、付属品の有無はあくまで総合的な判断材料の一つに過ぎません。
正規店以外で購入する場合は状態をよく確認する
現代のオンライン社会では、ネット通販やオークションでの購入機会が増えていますが、写真だけで真贋を見抜くことは不可能です。
手触り、重さ、夜光塗料の発光など、実物でなければ確認できないポイントが多数あります。
並行輸入店などで販売されている個体は、正規店より価格が魅力的な場合がありますが、偽物混入リスクがゼロではないこと、国内の正規保証が受けられない場合があること、修理費用が高額になったり、アフターサービス自体を断られる可能性があることを理解しておく必要があります。
どこで購入する場合でも、信頼できる販売店を選ぶことが、価格の安さ以上に重要です。
オメガのスピードマスターを安心して購入できる場所は?

オメガ スピードマスター 東京オリンピック 2020本限定 522.20.42.30.06.001 OMEGA 腕時計
精巧な偽物が増え続ける中、安心して本物のスピードマスターを購入するには、信頼できる購入先を選ぶことが最も重要です。
ここでは、それぞれの購入方法のメリット・デメリットと安全でおすすめな購入方法をご紹介します。
ブランド正規店で購入する
正規店での購入は、100%本物であるという絶対的な安心感があります。
メーカーによる万全の国際保証とアフターサービスも受けられ、購入後の安心感は何物にも代えがたいものがあります。
ただし、価格が最も高い(定価販売)ことと、生産終了したモデルや希少なヴィンテージモデルは購入できないという制約があります。
特に人気のヴィンテージモデルや限定モデルをお探しの方には、正規店以外の選択肢も検討する必要があります。
信頼できる中古専門店で購入する
中古専門店での購入には、正規店よりも安価に本物を購入できる可能性があること、生産終了した人気モデル、限定モデル、ヴィンテージなど、正規店では決して出会えない個体を見つけることができるというメリットがあります。
信頼できる専門店であれば、プロの鑑定士による真贋鑑定と、店舗独自の保証(アフターサービス)が付きます。
ギャラリーレアは、長年の営業実績と高い評判を持ち、銀座や心斎橋などに実店舗を構えており、商品を直接確認していただけます。最も重要な点として、私たちは専門の鑑定士が在籍し、体系化された「8ステップの多重鑑定システム」を確立・公開しています。
専門研修を受けたバイヤーだけでなく、複数の異なる部門の異なる担当者が、この記事で解説した7つのポイント(ロゴ、ムーブメント、ベゼル等)を繰り返しチェックします。
この多重チェック体制こそが、個人の見逃しやヒューマンエラーを防ぎ、精巧な偽物を排除する最も強力な防壁となっています。
オメガのスピードマスターの偽物の見分け方についてまとめ
まとめ
- スピードマスターは世界的人気と資産価値の高さから偽物が多く出回る傾向がある
- スーパーコピーなど精巧な偽物はプロでも判別が難しく個人での見極めには限界がある
- 夜光塗料の塗り方や針・インデックスの仕上げ、クロノ機能の動作不良も偽物を疑うポイント
- 相場より極端に安い個体や個人間取引より多重鑑定と保証が整った専門店での購入が安心
オメガのスピードマスターの偽物を見分けるには、ロゴ、付属品(シリアル)、裏蓋、文字盤(針)、ベゼル、全体の質感、ブレスレットの7つのポイントを総合的に確認する必要があります。
しかし、偽物も日々進化しており、特にスーパーコピーと呼ばれる精巧な偽物は、プロでなければ見抜くことが困難なレベルに達しています。
真贋の見分け方を知ることは、知識として重要です。しかし、それ以上に偽物が入り込むリスクのない場所で買うことこそが、高額な資産を守るための最も賢明な選択です。
スピードマスターをお探しの方は、ギャラリーレアのストック一覧をぜひご覧ください。銀座や心斎橋の実店舗でも、この記事で学んだ知識を基に、実物を手に取ってご確認いただけます。
お客様が納得して、安心して本物のスピードマスターを手に入れられるよう、私たちが全力でサポートさせていただきます。
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